インタビューを受けてくれた方

井上明美1967年生まれ山梨県出身/今は専業主婦。昔はメーカー勤務の企画職をしていました。性格は冷静沈着で論理的な一面があり、MBTIはENFJ(主人公)。信条は「継続は力なり」。小さな積み重ねが大きな成果に繋がると信じているからです。休日は料理を楽しみ、特技は動画編集です。好きな本は『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦、映画は『最強のふたり』です。どうぞよろしくお願いします。
自分史DB今はお仕事を辞めて専業主婦をされていると聞いていますが、今回は勤務時代を中心にお話を伺いたいと思います。バリバリお仕事をされていた井上さんを形作っていた原点になるようなエピソードはありますか?
当時の私を形作っていたのは、幼い頃に母の隣でずっと眺めていた、台所の光景かもしれません。
私の実家は山梨なんですけれど、母がとにかく丁寧に料理をする人だったんです。煮物を作るにしても、野菜の切り方一つとっても、本当に無駄がなくて。子供ながらに「どうしてそんなに綺麗に揃うの?」って、ずっと横で見ていました。
実は、当時勤めていた企画職という仕事も、根本はそこにある気がしています。一つの製品を作り上げるために、地味な調査を積み重ねたり、論理を組み立てたりする作業は、なんだかあの時の下ごしらえに似ているんですよね。派手なアイデアを出すことよりも、まずは土台を整える。そういった「丁寧な継続」を大切にする姿勢は、あの静かな台所から教わったのだと思います。
小さい頃はただ「お母さん、すごいな」と思っていただけでしたが、それが私の仕事の流儀にも繋がっていますね。



お母様の下ごしらえのお話、素敵ですね。お仕事でも地道な積み重ねを大切にされているとのことですが、これまでのキャリアの中で、一番根気が求められた、あるいは「続けてよかった」と心から思えた瞬間はどんな時でしたか?
ある新製品の立ち上げに関わった時のことが真っ先に浮かびます。
企画の仕事って、華やかに見えるかもしれません。でも実際は、何百枚ものアンケートを一枚ずつ読み込んだり、製造現場の担当者さんと何度も話し合いを重ねたり、本当に地味なことの連続なんです。
その時は、開発の途中で何度も計画が白紙になりそうになりました。でも、私はあきらめたくなくて。毎日少しずつデータを補強して、周囲を説得して回りました。まさに「継続」ですよね。
ようやく製品が店頭に並んだ日、それをお客さまが手に取ってくださるのを見た時は、もう、胸がいっぱいになりました。派手な成功というよりは、積み重ねてきたパズルの最後のピースが、カチッとはまったような感覚。あの時、逃げずに続けて本当に良かったです。



「周囲を説得して回った」というお話がありましたが、意見がぶつかる場面もあったかと思います。周囲の心を動かすために、言葉の伝え方で工夫していることはありますか?
やはり、理屈だけで押し通そうとしないことでしょうか。
もちろん、企画職ですから数字やデータはしっかり準備します。でも、現場の方には現場のプライドや守りたいものがあるんですよね。だから、まずは相手のお話をじっくり伺うようにしています。いわゆる「聞き役」に徹する時間を作るんです。
その上で、こちらの考えを伝えるときは、できるだけ柔らかい表現を選ぶように気をつけています。相手を否定するのではなく「こういう視点を加えたら、もっと良くなりませんか?」という風に、一緒に作り上げる空気感を作るというか。
これは性格かもしれませんが、一歩引いて、相手に花を持たせるくらいの気持ちでいるほうが、結果的に物事がスムーズに進むことが多い気がします。
結局、最後は「人」なんですよね。どれだけ論理的であっても、そこに信頼関係がないと、本当の意味で人は動いてくださらない、というのが私の実感ですね。



意見がぶつかる場面でも柔らかく接するのは、精神的なエネルギーも使いますよね。井上さんが、どんな時でも取り乱さず冷静沈着でいられるために、普段から心がけている習慣や、リセットの方法はありますか?
そうですね、たしかに気疲れしてしまうこともあります。
そんな時、私にとっての最高のリセット法は、やっぱり料理なんです。平日はどうしても論理とか、効率とか、そんなことばかり考えてしまうので。休日にただひたすら無心になって野菜を刻んでいると、不思議と心が整っていくんですよね。
包丁がまな板に当たるトントントン、というリズムを聞いていると「ああ、今はこれだけに集中すればいいんだ」って、頭の中の雑音が消えていくんです。お料理って、最後には必ず美味しいものが出来上がるという、確実な「小さな成功」が約束されているじゃないですか。それが仕事で疲れた自分を救ってくれるというか。
あとは、そうですね。最近は動画編集もいい息抜きになっています。撮りためた料理の動画を繋ぎ合わせて、一つの作品にする。その、一コマ一コマを丁寧に繋いでいく作業が、結局は自分の性格に合っているのかもしれません。
特別なことは何もしていませんが、そうやって自分の手で何かを整える時間が、冷静さを保つための大切な儀式になっているんだと思います。おかげで月曜日には、またフラットな気持ちで会社に向かえるんですよね。
井上明美さんから若い人に向けてメッセージ



今、世の中ではスピード感や大きな成果ばかりが求められがちで、焦りを感じている若い方も多いと思います。そんな彼らに向けて、小さな積み重ねを信じて歩んできた井上さんから、何か人生を豊かにするアドバイスをいただけますか?
もしお伝えできることがあるとしたら、焦らなくても大丈夫ですよ、ということでしょうか。
今はSNSなどで他人の華やかな活躍がすぐに目に入りますし、早く結果を出さなきゃって、急ぎ足になってしまう気持ちもよく分かります。でも、人生って意外と長いですから。
大きな花を咲かせることばかりに気を取られず、まずは目の前にある「自分なりの下ごしらえ」を大切にしてほしいなと思います。誰にも気づかれないような小さな工夫とか、地道な準備。それって一見、遠回りに見えるかもしれません。でも、その一つひとつの積み重ねが、いつか必ず自分を支える強い土台になってくれるはずです。
すぐに答えが出なくても、今日一日を丁寧に過ごせたなら、それで十分。自分を置いてけぼりにせず、自分の歩幅で進んでいってくださいね。私も、自分のリズムを大切にしながら、これからもトントントンと、小さな積み重ねを続けていこうと思っています。
インタビュアーからのコメント



「自分史DB」のインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。井上明美さんとの対話を終えて、感じたことをまとめさせていただきます。
母から受け継いだ「下ごしらえ」の精神を、仕事でも私生活でも大切にされている井上さん。一歩引いて相手を立てる奥ゆかしさと、論理的な冷静さの裏にある、ひたむきな情熱が印象的でした。スピードが求められる時代だからこそ、井上さんの「自分の歩幅で丁寧に積み重ねる」という生き方は、多くの人の心を整えてくれるはず。日々の小さな営みを愛するその姿勢に、人生を豊かにする真髄を見た気がします。
ご協力ありがとうございました。
インタビューを受けてくれた方


井上明美1967年生まれ山梨県出身/今は専業主婦。昔はメーカー勤務の企画職をしていました。性格は冷静沈着で論理的な一面があり、MBTIはENFJ(主人公)。信条は「継続は力なり」。小さな積み重ねが大きな成果に繋がると信じているからです。休日は料理を楽しみ、特技は動画編集です。好きな本は『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦、映画は『最強のふたり』です。どうぞよろしくお願いします。

