インタビューを受けてくれた方

佐藤拓也1996年生まれ石川県出身/現在は公務員として働いています。性格は冷静沈着で論理的な一面があり、MBTIはINFP(仲介者)。信条は「日々是好日」。毎日をかけがえのない一日として大切に過ごしたいからです。休日は登山を楽しみ、特技は速読です。好きな本は『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦、映画は『千と千尋の神隠し』です。どうぞよろしくお願いします。
自分史DBご自身の幼少期を振り返ってみて、今のあなたを形作る原点になったような、大切な思い出やエピソードがあればぜひお聞かせいただけますか?
石川県の田舎の方で育ったんですけど、そうですね、今の自分につながっているのは、家の裏山に一人で入っていった時の記憶かもしれません。
当時から、みんなでワイワイ遊ぶよりは、一人で静かに過ごすのが好きで。ある日、ふと思い立って、道なんてないような斜面をどんどん登ってみたんです。頂上に着いた時、別にすごい景色があったわけじゃないんですけど、ただ風の音だけが聞こえて、自分の呼吸がすごくはっきり分かったんですよね。
「世界には自分と自然しかいない時間があるんだ」って、子供ながらに妙に納得したというか。あの時の、しんと静まり返った感覚が、今の登山の趣味にも、公務員として淡々と、でも一日を大切に過ごそうとする姿勢にも、どこかで繋がっている気がします。



公務員として働かれているということですが、どのような仕事をされているのでしょうか?
今は市役所の福祉関係の部署で、主にケースワーカーのような動きをしています。具体的には、生活に困っている方の相談に乗ったり、支援の計画を立てたりするのがメインですね。
公務員って、窓口で淡々と手続きをするイメージが強いかもしれないですけど、僕の場合は結構、外に出ることも多いんですよ。直接お宅に伺って、その方の生活の背景を聞いたりするので。
僕はもともと理屈で物事を整理するのが得意な方なんですけど、いざ対面でお話を聞くと、教科書通りにはいかないことばかりで。相手の感情に寄り添いつつも、制度として何ができるかを冷静に判断しなきゃいけない。そのバランスがすごく難しいんですけど、誰かの力になりたいっていう部分と、論理的な部分の両方を使っている感覚はありますね。正直、毎日ドタバタです。



これから高齢化や経済格差が大きくなると聞いています。今後ますます必要とされるお仕事なのかと思います。毎日をかけがえのない一日として大切に過ごしたい、ということですが何か心がけていることはありますか?
そうですね、確かに仕事で向き合う課題はどんどん複雑になっている実感があります。だからこそ余計に、仕事が終わって一歩外に出た時は、意識的に頭を切り替えるようにしています。
具体的に心がけていることと言えば、帰り道に空の色を見たり、季節の匂いを感じたりするような、本当にちょっとしたことです。仕事ではどうしても「解決策」とか「効率」を論理的に考え続けてしまうので、プライベートではあえて「ただそこに在るもの」をそのまま受け入れる時間を作るようにしています。
あとは、特技の速読を活かして色んなジャンルの本を読むんですけど、それも知識を得るためというよりは、自分の視点を凝縮させて、目の前の一日を鮮やかに見せるための儀式みたいなものかもしれません。



本を速く読めるのは羨ましいです。私は読むのが遅くて、でも本は好きなので読みたい、という状況でして。訓練のようなことはされたのですか?
僕も最初からこうだったわけじゃないんですよ。もともと本を読むこと自体は好きだったんですけど、一字一句を頭の中で音読するような読み方をしていて、全然進まないのが悩みでした。
それで、学生時代に少しコツを練習した時期があったんです。訓練というか、意識を変える練習ですね。具体的には、視界を広げて文字を「塊」で捉えるようにしたり、ページをめくるリズムを一定に保つようにしたり。
ただ、公務員の仕事をするようになってから、速読の捉え方が少し変わりました。仕事の資料は効率よく読みますけど、自分の好きな本をあえて速く読むのは、情報を詰め込むためじゃないんです。なんて言うか、著者の思考のスピードに自分の波長を合わせるような感覚なんですよね。
もちろん、たまに「あ、ここはゆっくり味わいたい」と思ったら普通に立ち止まりますし。もし読むのが遅いことを気にされているなら、それはそれですごく丁寧に著者と対話できている証拠だと思うので、素敵なことだと思いますよ。僕の場合は、せっかちな性格と「一日を使い切りたい」っていう欲張りなところが、たまたま速読という形に繋がっただけかもしれません。



一日を大切に使い切りたい、という考えは私も見習いたいと思います。
ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。
でも、僕も最初からそんな風に思えていたわけじゃなくて。公務員になって、いろんな方の人生の岐路に立ち会うようになってから、より強く意識するようになった気がします。
「一日を使い切る」って言うと、何か特別なことをしなきゃいけないってプレッシャーに感じることもあるかもしれないですけど、僕の場合はもっとシンプルなんです。それこそ、山に登って「あ、空気が冷たくて気持ちいいな」って感じるだけでもいいし、仕事でちょっとした事務処理がスムーズに終わったことでもいい。
結局、寝る前に「今日も一生懸命生きたな」って思えれば、それで合格です。
佐藤拓也さんから若い人に向けてメッセージ



ぜひ、無気力や怠惰に日々を過ごしてしまいがちな若い人にメッセージをいただきたいです。私も含めて。
そうですね、無気力になっちゃうのって、たぶんすごく優しいというか、真面目すぎるからじゃないかと思うんです。今の世の中、何者かにならなきゃいけないとか、意味のあることをしなきゃいけないっていう空気が強いじゃないですか。
でも、僕が山に登っていて思うのは、道端の石ころや木々に「意味」なんてないんですよね。ただそこにあるだけで、それがすごく綺麗だったりする。
だから、何もできない日があっても、それはそれで「今日という日を休むことに使い切った」と考えればいいんじゃないでしょうか。無理に動こうとせず、まずは美味しいお茶を淹れるとか、窓の外をぼーっと眺めるとか、その瞬間の感覚だけを大切にしてみる。
「日々是好日」って、良いことがあったから良い日、という意味だけじゃなくて、どんな状態の日であっても、それは二度と来ないかけがえのない一日なんだ、っていう肯定だと思うんです。ダラダラしちゃった自分を責めるエネルギーがあるなら、その分、そのダラダラを全力で味わってみる。そんなところから、少しずつ心が軽くなっていけばいいなと思います。僕も、そんな風に自分を許しながら毎日をやっています。
インタビュアーからのコメント



「自分史DB」のインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。佐藤拓也さんとの対話を終えて、感じたことをまとめさせていただきます。
今回のインタビューで感じたのは、佐藤さんの冷静な公務員という顔の奥にある、瑞々しい感性です。
論理や効率を重んじる一方で、彼が真に大切にしているのは、山の風や空の色といった形のない手触りでした。「日々是好日」という言葉を、自分を優しく着地させるためのお守りのように使い、無気力な日さえも「休むことに使い切った」と肯定する。その姿勢には、葛藤の多い現場で人の人生に寄り添ってきた彼ならではの、静かな温かさが宿っていました。
ご協力ありがとうございました。
インタビューを受けてくれた方


佐藤拓也1996年生まれ石川県出身/現在は公務員として働いています。性格は冷静沈着で論理的な一面があり、MBTIはINFP(仲介者)。信条は「日々是好日」。毎日をかけがえのない一日として大切に過ごしたいからです。休日は登山を楽しみ、特技は速読です。好きな本は『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦、映画は『千と千尋の神隠し』です。どうぞよろしくお願いします。
